半年前
半年前
今回はアロペシアXについてです。
アロペシアX(エックス)のことをご存じない方も多いかと思います。
アロペシアとは脱毛症のことで、そのあとのX(エックス)は原因不明という意味で
アロペシアXを直訳すると原因不明の脱毛症ということになります。
毛のはえかわりの異常と考えられています(毛周期停止)。
圧倒的にポメラニアンに多く、パピヨン、プードル、ハスキーなどにもみられます。
以前から知られていた病気ですが、なかなかいい治療方法がなく、
これまであきらめざるをえなかったことが多かったのですが、
今回、最近の獣医学雑誌、教科書等に記載のある方法にて、
毛がかなり少なかったポメさんがすごく毛がはえてフサフサになり、
毛艶(けづや)もよくなったので、写真でお見せしようと思います。
これまでこのポメさんは、〇&U 30というサプリメントや
(一応、商品名は伏せておくことにします)
〇プレットPRO、甲状腺の薬(チラーヂン)を試してきたのですが、
いずれも効果はなかったです。
今回効果のあったのは男性ホルモンに関係した薬です。
ちょっと前(あるいは現在も?)、人の中年男性の脱毛はお医者さんに相談だ! と
テレビのコマーシャル等で見かけましたが、
これは中年男性の脱毛症を男性ホルモンに関係した薬で治そうというものです。
人で効くなら犬、ポメさんにもどうかとのことで、アロペシアXにも効果があるのでは?
と試された方法だと私は勝手に考えておりますが…。
今回このポメさんには、男性ホルモンに関係する薬を1週間と
ビタミン剤を2種類を1か月間服用していただきました。
飼い主さんによると、2か月後くらいから毛がはえてきたとのことでした。
飼い主さんも喜んでおられましたが、私もかなりうれしく思い、ホームページ上で
写真を公開する許可をいただき、今回公開させていただきました。
今回はすごくうまくいきました。
ある教科書にはこの治療を試したアロペシアXの犬の半分以上に
明らかな発毛があったと記載されております。
ただ、脱毛症の原因はほかにもいろいろあります。
例えば、膿皮症、ニキビダニ、カビ、自己免疫疾患、脂腺炎、
クッシング症候群、甲状腺機能低下症、パターン脱毛症、
カラーダイリューションアロペシア…
いろいろと鑑別した上で治療することになります。
この治療方法でアロペシアXの犬の半分以上は効果があったようだと書きましたが、
半分弱は効果がなかったとも読みとれるわけで、
治療するのは難しい病気だと感じています。
ちなみに、このポメさんの薬代は約1万円でした(検査費用は除く)。
(2015年11月17日)