今回は猫の難治性歯肉口内炎の話です。

当院を受診していただいた猫さんには、できるだけ、口の中をチェックする
ようにしています。年齢とともに歯石がついてしまい、歯石が原因で歯肉炎や
口内炎になっている猫さんによく出会います。
また年齢や歯石に関係なく若い猫さんでも、歯肉炎、口内炎になっている
ことがあります。

・最近、毛づくろいをしなくなった。 ・口の周りがいつも汚れている。
・よだれが多い、よだれに血が混じる。 ・口臭が強くなった。
・食欲はありそうだが、実際食べようとするとためらったり、ぎゃーとさけぶ。。
などの心当たりがある方は、一度受診することをおすすめします。

猫の歯肉炎、口内炎の原因はいろいろとあります。
歯石以外にも、猫エイズ、猫白血病ウイルス感染による免疫力の低下、
やっかいなバイ菌、ホルモンが関係する病気(甲状腺など)、
腎臓、肝臓の障害など、いろいろあると考えられています。

原因がさまざまなため、治療方法もいろいろと提唱されています。
抗生剤(飲み薬や、一度注射をすると2週間効果が持続するもの、
直接歯肉に塗るもの)、ステロイド、非ステロイドの抗炎症薬の飲み薬や注射、
免疫を調節、抑制する薬、サプリメントや口の中の消毒等、
いろいろありますが、一番のおすすめは全身麻酔下での歯石除去です。

いろいろな治療方法や歯石除去をしても、それでも治らない猫さんも
残念ながらいます。難治性の歯肉炎、口内炎と呼んでいます。
そうなると次の対処方法としては、歯を抜くということになります。
牙(きば)や前歯(切歯)、奥歯(臼歯)の全てを抜歯することもあります。
(全顎抜歯)
牙よりも奥の歯をすべて抜歯する方法もあります。(全臼歯抜歯)
全臼歯抜歯をした場合、60%の猫が難治性歯肉口内炎が治り、
20%がある程度改善し、のこり20%が改善しないと言われています。
牙よりも奥の歯、臼歯を全て抜歯してもそれでも改善しなければ、
今度は全ての歯を抜くこともあります(状況により…)

ところで、歯を抜く…と書いてきましたが、猫さんの歯を抜くのはかなり大変です。
歯の根っこ(歯根)が残ると、全臼歯抜歯、全顎抜歯の意味はありません。
なので、歯を受けている骨(歯槽骨)を削らないとうまく抜歯できないことが
多々あります。実際にどのようにするのか、今回写真をとったので、
次の第27話でお見せしますが、生々しい写真(というほどでもないですが…)が
何枚かありますので、ご注意ください。

第41話〜はこちら

第40話 血糖値測定が激変

第39話 輸血とSNS

第38話 おもちゃが口に‥

第37話 ダイエット不要

第36話 アロペシアX

第35話 避妊手術の傷

第34話 帝王切開は大変

第33話 動画で撮影

第32話 トキソプラズマ症

第31話 おうちで皮下注射

第30話 心臓病と呼吸数

第29話 犬ときのこ

第28話 抗生剤の連続投与

第27話 猫の歯肉口内炎2

第26話 猫の歯肉口内炎

第25話 歯石除去

第24話 犬も雪道で骨折

第23話 食欲全くなし

第22話 猫のかたタマ

第21話 コレステロール

第1話〜第20話はこちら