今回は動画を撮ってもらえるとすごく役に立つんです…というお話です。

「今朝、けいれんが初めて起きました。」という飼い主さんが来院されました。
こちらとしてはどのようなけいれんだったのか知りたいのでいろいろ質問します。
飼い主さんも一所懸命に説明されるのですが、「 百聞は一見に如(し)かず 」…。
こちらとしては、体全体が突っ張っていたのか、体の一部だけ、例えば
左後ろ足だけが突っ張っていたのか、
バタバタと泳いでいるような感じだったのか、
目の動きはどうったのか、左右に振動していたのか、上下方向だったのか、
あるいは、回転していたのか、
舌の色は悪くなかったか、よだれはでてたのか、
何分間ほど続いていたのか
いろんなことを考慮して診断していきます。
初めて自分の犬、猫がけいれんを起こすと、気が動転してけいれんが落ち着くのを
見守ることしかできないと思います。そのけいれんの様子を動画で撮る余裕など
全くないかと思いますが、2回目、3回目のけいれんだと
飼い主さんにも少し余裕が生まれ、動画を撮れるようになってきます。
もし、けいれん発生時に動画を撮るなら、上記のことに注目しながら
撮影していただけると診断に大いに役立ちます。

またけいれんだけでなく、前足、後ろ足のびっこの時にも動画が役立ちます。
飼い主さん:「 びっこを引いているので連れてきました 」
獣医師  : 「歩かせてみてください 」
犬     : 普通に歩いている…
ということが、けっこうあります。病院に来て緊張しているためか、
あるいは、自分が負傷しているところを他の生物に見られてしまうと
自分が狙われているという動物の本性のせいか、
病院ではびっこがなくなり、おうちに帰ったとたん、またびっこをひくということが
よくあります。そんな時、びっこを引いている動画をおうちで撮ってもらえると
どのようなびっこかがすぐわかり、すごく診断に役立ちます。

また咳の場合も動画があると役に立ちます。
動画をみることで、咳だと思っていたのがくしゃみだったり、またその逆だったり、
心臓が原因だろうと疑うことができたり、逆くしゃみ(のどちんこが長すぎて、
のどちんこを吸い込んでしまうこと)だったり、
気管が細くなっているのでは?と疑えたりと役に立ちます。
病院に連れてきていただいた時に咳をすればいいのですが
病院でいっさい咳をしないと、何が原因で咳をしているのか
判断できないこともあります。

動画だけでなく、写真でも役立つことがあります。
いつもと違う便、下痢をしたとき、下痢の写真があると、色、柔らかさ等の情報が
得られますし(下痢の時は少しでいいので、下痢便を持参いただきたいですが)、
嘔吐の場合も嘔吐物の写真があると役立つこともあります。

目が開けにくそうなら、どのよう感じなのか、動画が無理なら写真でも役立ちます。
携帯電話や特にスマホの動画の性能が上がっているため、
本格的なビデオカメラでなくても、それらの動画で十分です。
おうちで起こったことが病院の診察室で起こると診断にとってはいいのですが、
起こらないかもしれないことは、可能であれば動画や写真で撮っておいていただけると
診断にすごく役立つことがあります。(もちろん無理ならけっこうですよ)
(2015年3月22日)

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第37話 ダイエット不要

第36話 アロペシアX

第35話 避妊手術の傷

第34話 帝王切開は大変

第33話 動画で撮影

第32話 トキソプラズマ症

第31話 おうちで皮下注射

第30話 心臓病と呼吸数

第29話 犬ときのこ

第28話 抗生剤の連続投与

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第26話 猫の歯肉口内炎

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第22話 猫のかたタマ

第21話 コレステロール

第1話〜第20話はこちら