第31話 おうちで皮下注射

第30話 心臓病と呼吸数

第29話 犬ときのこ

第28話 抗生剤の連続投与

第27話 猫の歯肉口内炎2

第26話 猫の歯肉口内炎

第25話 歯石除去

第24話 犬も雪道で骨折

第23話 食欲全くなし

第22話 猫のかたタマ

第21話 コレステロール

第1話〜第20話

今回は歯石除去(スケーリング)の話です。

ある飼い主さまから、当院の歯石除去はどのようにしているのかとの
問い合わせを受けましたので、今回は当院の歯石除去について紹介します。

まず、血液検査で麻酔をかけても問題がないかどうか確認します。
問題なければ、麻酔をかけますが、プラスチックの針を血管の中に入れ、
点滴をし、かつ、気管の中に太さ0.5から1センチくらいのチューブを入れ
(気管内挿管)、麻酔中の呼吸を管理します。

歯石除去の道具、超音波スケーラーを歯石にあて、歯石を除去しますが、
その際、発生する熱で歯を損傷させないために
(歯面損傷、歯髄炎、歯髄壊死)、
超音波スケーラーから霧状の水がでる仕組みになっています。
この水や、除去された歯石がのどの奥に入らないようにするために、
処置前にのどの奥にガーゼを詰め、
さらに、犬、猫の頭が下がるように手術台を傾けて行います。
歯石除去は歯の見えている部位は超音波スケーラーで、
歯と歯茎の間、いわゆる歯周ポケットの歯石は
キュレットスケーラーと呼ばれる鎌型の道具を用いて行います
(ルートプレーニング)。

超音波スケーラーによる歯石除去直後は歯の表面が粗造で
歯石が付きやすくなっています。
そのため歯の表面を研磨剤にて磨く必要があります(ポリッシング)。
研磨は当院では2回おこなっております。
1回目は歯の表面に残った細かな歯石を祖粒の研磨剤をつけた
ポリッシングブラシにより除去します。(荒研磨)
2回目は歯の表面にできた細かな傷を除去する目的で
細粒の研磨剤をつけたゴム製のラバーカップとよばれるもので
磨きます。(仕上げ研磨)
歯周ポケットも同様に行います。
ぐらついた歯はもう、もとには戻らないため、
ぐらついている歯があれば、抜歯します。
歯に歯の根っこが1個、2個、3個あるものがあります。
歯根が3個ある歯の抜歯は大変なことがあり、
その場合、ダイアモンドバーと呼ばれるドリルで歯を2つ、3つに分割してから
抜歯することがあります。
また、歯ではなく歯をうけている骨、歯槽骨を削ることもあります。

価格ですが、抜歯を必要としない場合は血液検査、麻酔、歯石除去、消費税等、
すべて込みで、体重や歯石の付き方により多少前後しますが、3万から4万円します。
抜歯が必要な場合はさらに抜歯料が加算されます。

人の歯石除去とは違い、全身麻酔をかけるため、人よりも高額になってしまいます。
どうかご了承ください。
(2013年6月16日)