今回は傷の消毒についてです。

「傷を消毒してはいけない」 という考えは、飼い主さんの中にも
少しづつ浸透してきています。
しかしまだ、ご存知でない方も多数おられます。
犬、猫のけがは毛で隠れることもあり飼い主さんが気づくまで時間がかかり、
人の傷よりもかなり悪化してから処置にあたることが多々あります。
たくさんある膿(うみ)をみるとどうしても、消毒液で消毒したくなりますが…。
一生懸命消毒液で消毒しても1時間もしないうちに
バイ菌の数は消毒前と同じ状態に戻ってしまいます。
また、傷に膿や、くさってしまった皮膚、血のかたまりなどがあると、
消毒薬の効果は少なくなってしまいます。
さらに消毒薬は、バイ菌だけでなく、
傷を治すありがたい細胞まで殺してしまいます。
では、傷を見つけたら、どうするか…。
まずは局所麻酔で痛くないようにし、
塩水(正確には生理食塩水という塩水)あるいはお湯で
しっかりと傷口を消毒ではなく洗浄します。
そしてくさった皮膚や膿をしっかり除くようにします。
だめになった組織をはさみで切り取ったり、スプーンの小さなもので
だめになった組織を引っかいて除いたり、それでも無理なら、
だめになった組織を取り除くクリームを使って
徹底的にくさった皮膚や組織を取り除きます。
その後は、傷は乾くと治りが遅くなるので、なるべく傷を乾かさないようにします。

数年前までは、傷がある場合は、茶色の消毒薬でしっかりと消毒していました。
その後この話を知り、消毒をしないようにしていますが、
消毒していたころに比べると傷の治りは明らかに早くなりました。

「院長より」のページにも書きましたが、獣医療は日々更新されています。
飼い主さんにできるだけ適切な獣医療が提供できればと考えております。

第21話以降はこちら

第20話 海外移住

第19話 大型犬の食欲

第18話 また肛門腺の話

第17話 肛門腺の化膿

第16話 犬と猫の便秘

第1話 消毒液

第14話 窓の外

第13話 仔猫とハジラミ

第12話 猫とユリ

第15話 毛玉ケア

第11話 こげ茶色の耳垢

第9話 爪のけずれかた

第6話 自転車での散歩

第8話 雪の日の散歩

第7話 巻き爪

第10話 マダニ予防

第5話 脂肪腫?

第4話 てんかん

第3話 腎不全

第2話 輪ゴムに注意