犬、ダックス

猫、スコティッシュホールド

今回は避妊手術の傷の大きさについて です。

先日電話にて、ダックスの飼い主さまから腹腔鏡での避妊手術の
相談がありました。当院では腹腔鏡の手術はしておりません。
腹腔鏡を利用した手術とは、お腹に3か所ほど皮膚を小さく切開し、
そこにお腹の中を見るカメラや、卵巣などを摘出するための細長い器具を入れ、
大きくお腹を切らずにテレビ画面を見ながら卵巣を摘出する手術のことです。
腹腔鏡を使用しないで当院でダックスの避妊手術をすると
どれくらいお腹を切るのかとの質問でした。

飼い主さんのできるだけ小さな傷で手術してほしいとの気持ちが
すごく伝わってきたので、今回当院での避妊手術の傷の写真を公開しました。
上の写真は手術が終わった直後の、5kgの女の子のダックスの写真です。
このダックスは、お腹の皮膚を1cmちょっと切開して避妊手術をしました。

犬と猫の子宮はYの字のような形をしています。
当院での避妊手術は子宮のYの字の左右の腕の部分と卵巣を摘出しています。
犬と猫の避妊手術は卵巣だけを摘出し、子宮を残す手術方法と
子宮の左右の腕と卵巣を摘出する手術方法がありますが、
特に大きな差はありません。
傷の大きさもほとんど変わりませんので、当院では必要のなくなった子宮の
左右の腕の部分は卵巣と一緒に摘出しています。

避妊手術において、卵巣が摘出しにくい犬もいます。
年齢がいくにしたがって、卵巣についている靭帯が硬くなり
卵巣が摘出しにくくなりますし、また、太った犬、猫は卵巣周辺にも
脂肪がたくさんつき、脂肪が卵巣の摘出を邪魔します。
このような場合は、手術の傷口の大きさよりも、
確実に卵巣と子宮を摘出することを優先させるため、
意図的にお腹の皮膚を大きく切開しています。

下の写真は3kg弱の猫、スコティッシュホールドの女の子です。
猫の場合も1cmちょっとお腹を切開して卵巣と子宮を摘出しています。

ちなみに当院では手術後、入院させませんし、包帯やエリザベスカラーも
つけません。なめていいわけないのですが、犬、猫になめるなって言っても
なめると思いますし、ちょっとぐらいなめてもトラブりません。
そのかわり、可能なら1日1〜2回、お湯で傷を洗浄していただいております。

避妊手術程度だと、腹腔鏡を使用したほうが、かえって傷が多くなり、
あまりメリットが無いように思います。
もちろん、避妊手術以外の手術では、例えば、肝臓の一部を採材する等の
手術では腹腔鏡を使用したほうが、犬、猫に負担がかからなくて良い場合も
あると思います。そのような場合は、腹腔鏡の提案もするかもしれません。
(2015年10月18日)

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