今回は、脂肪腫? の話です。
4、5、6月はフィラリア、狂犬病でたくさんの飼い主さんに来院いただきました。
その際、お話をいろいろとさせていただきました。
飼い主さん : 「体のあちこちに脂肪の塊があるのだけど、
ほっておいても大丈夫ですよね?」
私 : 「これらの塊は脂肪であることを確認したことがありますか?」
飼い主さん : 「やわらかいので脂肪だと思ってました…」
このような会話がけっこうありました。
やわらかいできもの → 脂肪腫 → ほっておいても大丈夫
という考えは、時に非常に危険なことがあります。
もし癌(がん)が脂肪に包まれている状態であれば、触ってやらわかくても
ほっておいて大丈夫ということにはなりません。
最低限の検査として できものに針をさして、針の中に入ってきた細胞を
(染色して)、脂肪かどうか確認したほうがいいかと思います。
10箇所のやわらかいできもののあるダックスの飼い主Aさんも
「ほっておいて大丈夫でしょう?」とのことでしたが、
今回、10箇所すべてに針をさして検査したところ、そのうちの1箇所が
悪性のものでした(肥満細胞腫でした)。
10箇所も針をさすのは気の毒ですが、癌(がん)を放置するほうが、
もっと気の毒なことになってしまいます。
針をさす検査(針生検、FNA)は万全の検査ではありません。
脂肪腫と診断されても、かたまりがどんどん大きくなるようなら、
再度検査を受けたがいいと思います。