肛門腺をおうちなり、来院されるなりで定期的に絞られている方は、
たくさんおられると思います。肛門腺は、肛門を時計の中心にたとえると、
4時と8時の方向に1個ずつ、計2個あります。
肛門腺の中にはとても臭いにおいのする液体が入っています。
その臭いにおいの液体がたまりすぎると、お尻を地面やじゅうたんに
こすり付けるようになります。中年齢になると、液体がペースト状や
粘土のようになり、肛門腺のなかみを簡単に出せなくなると、
肛門腺が破裂し、その上の皮膚までくさり、
筋肉が丸見えになる場合があります。
なので犬も 「 猫 も」、定期的に絞ってあげることをおすすめします。
定期的と記載しましたが、どれくらいの間隔で絞ってあげればいいかは、
犬、猫によりさまざまなので、たまり具合で判断しています。
一生絞らなくても全く問題ない犬、猫もいますが、
最低でも2ヶ月に1回ぐらい絞らないと肛門腺がパンパンになり、
すぐ破裂する犬、猫もいます。
ところでここからが本題ですが、肛門腺を絞ったとき、そのなかみの液体は、
何色をしていますか? 黒、灰色、黄色、茶色など、いろんな色があります。
問題なのは、クリーム色や少し緑色の時もありますが、
あきらかに膿(うみ)が出ているときです。
肛門腺のなかみはすごく臭いのですが、なかには肛門腺のくささに、
化膿のにおいが混じることがあります。肛門腺が化膿すると、
肛門腺のなかみがたまりやすくなり、肛門腺を絞って1ヶ月もしない間に
パンパンになることがあります。抗生剤の飲み薬を飲んでも、
肛門腺のなかにまでなかなか抗生剤が届かないのか、
化膿はよくならないことが多いです。
そうなると、来院していただき、肛門腺のなかを洗浄するのが
いいかと思います。専用の直径が1mmあるかないかの くだ を、
肛門の横にある肛門腺の出口に挿入し、
(肛門の左右をよく見ると点のように見えるくぼみがありますが、
それが肛門腺の出口です)肛門腺の中を洗浄することを2、3回すると、
化膿が治ることがほとんどです。
化膿が混じったすごく臭いにおいがかなり落ち着いたり、
肛門腺がパンパンになるとお尻をずっと気にしていたのが、なくなったり、
肛門腺のなかみがたまる速度がかなりゆっくりになったりします。
当院で肛門腺絞りをされている方は、絞ったときに化膿していれば、
肛門腺の中を洗浄する話をしていますが、特におうちで肛門腺を
絞られている方で、化膿のにおいがしたり、
化膿している時のクリーム色だったり、すぐ肛門腺がたまるときは、
一度受診されてみてはいかがでしょうか?
(2012年5月15日)