今回は窓の外を眺める猫さんのお話です。

2ヶ月ほど前、ある飼い主さんが怪我をした猫さんをつれて来院されました。
その猫は外に出たそうにずっと窓の外を眺めていたので、
かわいそうに思った飼い主さんがその猫を外に出してしまったそうです。
そしてその日の夜、おうちに帰ってきた猫さんは、怪我をしていました。
来院時には、耳から頬の皮膚に、4つの穴があいていました。
おそらく、相手の猫さんの牙(犬歯、上下左右)がささってしまったのでしょう。
がっつり洗浄して、抗生剤をしばらく飲んでもらって、
傷は1週間ほどで治りました。細菌に関してはこれで終了ですが、
ウイルスに関してはまだ終了ではありません。
猫エイズや猫白血病ウイルスは、人のエイズウイルスの検査と同様に
感染してすぐに検査をしても、感染したかどうかはわかりません。
感染後、2ヶ月ほどで感染したかどうかがはっきりします。
この猫さんの場合、残念ながら、猫エイズに感染してしまいました。

(ここで少し、猫エイズの補足を… 猫エイズは人にはうつりません。
また、猫エイズの検査は猫エイズウイルスに対する抗体があるかどうかで
感染の有無を判断しています。
他の飼い主さんが、他院で、保護した生後約4ヶ月の猫さんの
エイズ検査をしてこの子は猫エイズウイルスに感染しています、
と獣医師に言われた方がおられましたが、母猫が猫エイズウイルスに
感染していて、仔猫が猫エイズウイルスに対する抗体を含んだ母乳を
飲んだ場合、仔猫が猫エイズウイルス自体には感染していなくても
猫エイズウイルスに対する抗体が検出されることもありますし、
その仔猫が本当に猫エイズウイルスに感染して、
自分で猫エイズウイルスに対する抗体をつくったのかは、
生後6ヶ月ぐらいまで判断つきません。
この猫さんの場合は生後約7ヶ月で再検査をしたところ、
猫エイズウイルスに対する抗体は検出されませんでした。前者に相当します。)

話を戻して…。

そもそも窓の外を眺める猫さんは、本当に外に出たがっていたのでしょうか?
完全室内飼いの猫の場合、なわばりは室内だけであって、なわばりの外に
出たいとは、おそらく思っていないといわれています。
窓の外を眺めているのは、自分のなわばりに侵入してくる猫がいないかを
監視しているだけと考えられています。
ただし、一度外に出てしまった猫さんは、外も自分のなわばりだと
認識してしまい、また外に出たがるようになってしまいます。
なので、猫さんを外には出さないでください。
ちなみに少し前にできた 動物の愛護及び管理に関する法律 でも
猫は屋内で飼養するようにうたっています。

当院近辺でけんかをして猫エイズに感染した猫さんが何匹かいます。
この近辺には猫エイズウイルスに感染しているノラ猫さんが
いるということです。繰り返しますが、猫さんを外にはださないように
してくださいね。(2011年11月18日)

第21話以降はこちら

第20話 海外移住

第19話 大型犬の食欲

第18話 また肛門腺の話

第17話 肛門腺の化膿

第16話 犬と猫の便秘

第1話 消毒液

第14話 窓の外

第13話 仔猫とハジラミ

第12話 猫とユリ

第15話 毛玉ケア

第11話 こげ茶色の耳垢

第9話 爪のけずれかた

第6話 自転車での散歩

第8話 雪の日の散歩

第7話 巻き爪

第10話 マダニ予防

第5話 脂肪腫?

第4話 てんかん

第3話 腎不全

第2話 輪ゴムに注意