暑くなると、耳の中(耳道内)にこげ茶色の耳垢(みみあか)で
汚れる犬がふえます。(夏だけではなく冬でもいるのですが…)
このこげ茶色の耳垢は結構くせもので、
飼い主さんの中には毎日耳掃除をしてるんだけど…
と来院される方もおられます。
このこげ茶色の正体はマラセチアという「カビ」であることが多いです。
かびといっても水虫のようなものではなく、
パン酵母やビール酵母などと同じ酵母菌の一種です。
このマラセチアという酵母菌はすごい繁殖力で毎日耳掃除をしても、
次の日あるいは2、3日で、またもとのこげ茶色の耳垢で
いっぱいになることもめずらしくありません。
この状況になると、飼い主さんが耳の洗浄液を使ってがんばって
耳掃除をしても完治させるのはかなり難しくなりますので、
なるべく早く受診していただければと思います。
治療は、まずマラセチアの数を減らす目的でなるべく奥まで
やさしく耳垢をとります。ただし重度の汚れの場合は
院内(かあるいはおうち)で耳の中を低刺激性のシャンプーで洗います。
時間をかけて綿棒で一生懸命耳の中をゴシゴシこすって耳道を傷つけて
耳掃除するよりも耳の中をシャンプーでキレイにしたほうが短時間で
キレイになりますが、シャンプーをしてはいけない状況もありますので、
勝手にシャンプーをしないほうがいいかと思います。
その後、抗カビ剤を毎日耳の中にいれていただきます。
軽度の場合は1週間くらいで完治までいくことがありますが、
重度の場合は1ヶ月あるいはそれ以上長く続けていただくこともあります。
やはり抗カビ剤を使わないとなかなか完治は難しいです。
抗カビ剤も有効なものとあまり効き目がないものなどいろいろありますので、
特に人用のものを勝手に使用しないでください。
耳の中にこげ茶色の耳垢を見つけたら、早めに来院いただければと思います。