今回はマダニ予防薬の特徴についてのお話です。
(この話は当院の飼い主さん向けです。
他の病院には当てはまらないこともあります。)
当院では、飲み薬と塗り薬を用意しております。
マダニ予防の飲み薬について
飲み薬を服用すると、胃、十二指腸を通り、小腸で吸収され、肝臓を通り、
その後、全身の皮膚に薬が1か月間とどまります。
マダニが犬の皮膚に付着し、犬の体液を吸うときに皮膚にとどまっていた薬も
いっしょに吸うことでマダニを殺します。マダニ予防薬というよりは駆除薬です。
飲み薬のメリット
シャンプーがいつでもできる
毛穴が少ないところにも薬がとどまってくれる 等です。
デメリット
犬は一度マダニに吸われてしまいます。
胃や腸など消化管を通るので、吐気や下痢になることがごくたまにあります。
比較的安全性が高い薬なので副作用はあまり心配しなくていいと思われますが、
副作用がゼロではないことは理解しておいてください。
あとは塗り薬よりも料金が高くなります。
薬が効いている期間も1か月と塗り薬よりも少しだけ短めです。
マダニの塗り薬について
当院ではフォートレオンを採用しております。
フォートレオンは他の塗り薬にはない良い特徴があります。
フォートレオンを犬の皮膚に塗ると毛穴の皮脂をつたわって全身を
コーティングするかのように広がります。内臓には塗り薬はいきません。
塗り薬のメリット
内臓への副作用はほぼありません。
他の塗り薬、飲み薬と違い、マダニに吸われる前にマダニを落とします。
(マダニを寄せ付けにくくします(忌避薬です))
マダニだけでなく、蚊も寄せ付けにくくします。
飲み薬よりも料金が低めです。
効果が6週間持続します。
デメリット
フォートレオンを塗ったところをしきりに気にしてしまう犬が
20〜30頭に1頭ほどの割合でいます。
毛穴が少ないところ、皮脂が少ないところには薬がうまく広がらないことがあり、
その場所にマダニがつくことがごくまれにある。
塗ったあと、全身シャンプーはなるべく2週間避けてほしい。
フォートレオンが服、ソファー等につくとシミになってしまう。
塗り薬、飲み薬のメリット、デメリットをあげてみました。
上記を参考にどちらを選ぶか決めていただければと思います。
あと、最近は一度の飲み薬でフィラリア予防とマダニ予防の両方ができる、
オールインワンタイプの飲み薬が出てきておりますが、当院では採用しておりません。
札幌ではフィラリア予防とマダニ予防の開始時期、終了時期が
いっしょではないので、オールインワンタイプのものは
無駄に薬を飲む時期が発生してしまうこと、
また、オールインワンタイプの薬はかなり料金が高くなることから
あまり、おすすめしておりません。
(2022年4月15日)